読書『獄門島』

横溝正史の推理小説です。名探偵 金田一耕助が活躍します。

金田一耕助の本業は探偵ですが、長引く戦争のため徴兵されていました。終戦後、戦友の鬼頭千万太の死に際の言葉に従って、千万太の出身地である獄門島へ向かいます。千万太は、三人の妹たちが殺される心配をしていました。耕助が獄門島へ着くと、月代・雪枝・花子という美しい三姉妹がいましたが…

島には島ならではの考え方やしきたりがあります。そこに事件の土台があります。

読書『仮面劇場』

横溝正史の推理小説です。探偵の由利氏と新聞記者の三津木氏が活躍します。

「盲にして聾唖なる虹之助の墓」という位牌のような金箔塗りの木片とともに小舟に乗せられ流された、十代後半と思われる少年が発見されます。この三重苦少年の生葬礼の事件は新聞社もこぞって記事にしました。そして、最初に小舟を発見した裕福な未亡人である大道寺綾子が引取人のない虹之助をあわれみ、彼を引き取ることにしました。しかし、綾子の恋人とその家族は虹之助の顔を見ると大変な驚き方をします。その後、虹之助の行く先々で殺人事件が起こります。

家庭内の隠蔽された悪事が、いつまでも隠されたまま上手くいくということはあり得ませんね。

読書『真珠郎』

横溝正史の推理小説です。探偵の由利麟太郎が活躍します。

東京で大学講師をしている椎名耕助と同僚の乙骨三四郎は、夏の休暇に信州に旅行に行きました。旅先の宿で、鵜藤氏という医者が湖畔の側の屋敷の一室を貸し出す相手を探しているという話を聞きます。2人はしばらく鵜藤氏の屋敷に滞在することに決めました。屋敷には鵜藤氏と姪の由美だけのはずなのに、2人は謎の美少年を目撃します。その後、鵜藤氏が謎の美少年に首を切られます。その美少年は「真珠郎」という名であり、鵜藤氏によって密かに育てられていたことを由美から聞きます。事件後、真珠郎は捕まらないままでした。夏が終わり椎名は東京に帰りました。しかし、東京で真珠郎を見かけます。事件は続きます。

人間が生きるには社会的規範や道徳、真善美・愛などから切り離されないことが大切ですね。

読書『仮面舞踏会』

横溝正史の推理小説です。名探偵 金田一耕助が活躍します。

人気女優の鳳千代子の恋人、飛鳥忠熙は金田一耕助に調査を依頼します。鳳千代子は四度結婚したことがあり、しかも元夫の四人ともが謎の死を遂げていきます。飛鳥忠熙は千代子の五度目の結婚相手として噂されている人物です。夏の避暑地、軽井沢で事件は巻き起こります。千代子の家族、忠熙の家族が軽井沢に集まっています。各家庭の隠された秘密、個々人の思惑が渦巻いています。

人気女優で仕事を長年し続け、しかも四度も結婚をしている千代子は重大なことを見落としていたのですね…。

読書『蝶々殺人事件』

横溝正史の推理小説です。探偵の由利氏と新聞記者の三津木氏がコンビで活躍します。

原さくら歌劇団は東京公演を終え、大阪公演のため列車で大阪に向かいました。歌劇団のメンバーや関係者たちは大阪のホテルにチェックインしていきますが、中心人物であるソプラノ歌手の原さくらが行方不明です。そして、リハーサルの時にコントラバスのケースの中からバラの花びらに覆われたさくらの死体が発見されます。由利氏と三津木氏は東京と大阪を行ったり来たりしながら真相を究明していきます!

殺された原さくらは日常生活のすべてを芸術として生きる芸術家でした。そして極端に空想力の強い女の人でした。それはある人にはとても愛され、ある人には非常に憎まれる性質でもありました。

読書『本陣殺人事件』

横溝正史の推理小説です。名探偵 金田一耕助が初登場する作品です。金田一耕助は興奮するとどもりがちで、しわしわの袴で、もじゃもじゃの髪なのですが「東京もん」で「アメリカ帰り」という何だかんだでイケてる雰囲気を持っています。

一柳家の長男・賢蔵の結婚式の夜、新婚夫婦は寝室で死体となります。賢蔵は一柳家の当主(大地主)で学者でもあります。新婦の克子は小作農の出で、教師でもあります。気位の高い一柳家の主な人々は、この結婚に反対していました。

人間はプライドが高すぎるとがんじがらめになってしまいますね。。

読書『悪魔が来りて笛を吹く』

横溝正史の推理小説です。名探偵 金田一耕助が活躍します。

貴族であるフルート演奏家・作曲家の椿英輔子爵が行方不明の後、死体で発見されました。死因は青酸カリを服用しての自殺と考えられました。昭和22年3月、法律で貴族が廃止される4月の直前に、椿子爵は貴族として死にたかったのだろうと世間は思いました。しかしその後、椿氏の屋敷に残された家族たちの前に椿氏らしき人物が度々現れます。椿氏は暗がりでフルートを吹いており、家の者たちは怯えます。椿氏に後ろめたい気持ちを持っている者も数名います。そして連続殺人事件が起こります。椿氏の呪いでしょうか!?

特権階級の悪事は、かつては隠蔽できたのかもしれませんが、時代とともに明らかになっていきますね。

読書『悪魔の手毬唄』

横溝正史の推理小説です。名探偵 金田一耕助が活躍します。

金田一耕助は、休養のために岡山県の鬼首村という静かな村を訪れます。その村は、二十数年前に殺人事件があった村でもあります。殺された男の顔面は判別がつかないほど、めちゃくちゃにされていました。容疑者は捕まっていません。金田一耕助は、ゆっくり休もうと思いつつもその事件が気になりつつ過ごしているところに、村の若い女が次々と殺される事件が起こります。二十数年前の事件と関係があるようで‥。

女遊びの好きな男性たちが登場しますが、その代償は大きいですね。

読書『犬神家の一族』

横溝正史の推理小説です。名探偵 金田一耕助が活躍します。

製糸業で成功し、莫大な財産を残した犬神佐兵衛が高齢で亡くなりました。犬神佐兵衛は、弁護士も反対するレベルの奇妙な遺言状をつくっていました。富・社会的地位・結婚をめぐって、一族の間でドロ沼の争いがはじまっていきます。そして連続殺人事件が起こります。

数十年前の日本人は、ここまで異常に「義理を立てる」事に命がけだったのだろうか‥。真相が明らかになる度に犬神佐兵衛や、孫の佐清の謎の義理深さが際立ちます。とても売れた作品なので共感する日本人が多かったのでしょうね。

読書『八つ墓村』

横溝正史の推理小説です。名探偵 金田一耕助が活躍します。

八人の落武者たちを財宝目当てに村人たちが殺したという言い伝えのある八つ墓村で、殺人事件が起こりました。田治見家の当主である要蔵が村人32人を殺しました。生き残った村人たちの中には、落武者の呪い・たたりのせいであると考えている人々もいます。要蔵は事件後、行方不明となりました。その二十数年後、要蔵と妾の子であるとされる寺田辰弥は田治見家へ行く事となります。辰弥はそれまで八つ墓村や田治見家のことは知らずに生きてきました。辰弥が八つ墓村へ入ると、次々と殺人事件が起こります。村人たちは辰弥を疑います。

村人たちの中にも様々な対立があります。辰弥へ嫌がらせをする人々もいます。非常に家名を重んじていたり、迷信深かったり、謎の通路がはりめぐらされていたり‥ドロドロとスリルがてんこ盛りです!それでいてロマンティックなところもあります☆